ともえのイタリア旅行(2003年夏)…第6日目
ヴェネチア



この日は実質イタリア最後の日で、他加子さん達と約束した夕食までは二人でヴェネチアの街をうろついて過ごしました。
もっとも、観光シーズン真っ只中なのでどこも見学の行列が長くて、いわゆる観光スポットはほとんどパス。
まず、ホテルを出て河岸を歩き、サン・マルコ広場へ。途中、河口の橋から少し上流の『溜息の橋』を眺めます。かつて、政治犯が判決を受けて牢獄へ連行されるとき、宮殿で判決を受けて牢獄へ収監される際、この橋からヴェネチアの街に溜息とともに別れを告げたとか。ゴンドラは青いシートをかけられて係留されていますが、私は泳げないので恐くて乗りませんでした。


     
     スキアヴォーニ河岸につながれたゴンドラ     ↑ドゥカーレ宮殿(左)と牢獄を結ぶ『溜息の橋』



サン・マルコ広場に着くと鳩がいっぱいいて、屋台式の御土産物屋さんが並び、方型の広場の周りにはカフェやお店があって、回廊のようになっています。
ざっと見渡してからスパダリア通りの方へ抜けてちょっとお土産などのお買い物。でも、すぐにあまり暑いので目についたレストランに飛び込んで昼食。間口の小さなお店でしたがエアコンがあるよという呼び込み文句に苦もなく降参。英語のメニューが置いてありました。涼しい店内にホッと一息ついて、メニューからモツァレラとトマトのピザとラザーニャを頼みました。飲み物はお水とカフェラテ。お水は無炭酸のを欲しいときは「ノンガス、ナチュレ」と言うと通じました。さあ、お皿が来て、夫婦で絶句・・・ふぐ刺しでも広げたら良さそうな大きなお皿にはみ出すほど大きなピザ!食べられるだろうかと不安になりました。ラザーニャもA5版くらいの大きさでこんもり厚いし・・・ でも、これが嘘みたいに食べられるのです。日本のピザと違ってクラストが薄くてカリッとしていて、チーズも辛くないせいだと思います。この地方独特のピザで、南部のナポリあたりに行くとクラストが厚くていかにもパンという感じなのだそうです。ラザーニャもなめらかな板状パスタで、ソースがさらりとしていて辛くないのが驚きです。少しバジルを加えて軽やかな味になっています。全体に、日本のイタリア料理は味が濃い上に舌に重いですね。全く期待しないでさっとお昼を済ますつもりで飛び込んだ食堂で実においしい物ばかりお腹いっぱい食べてしまいました。(^^;)


      
サン・マルコ広場。写真奥がサン・マルコ寺院。       ヴェネチアの仮面   


サン・マルコ広場に戻って回廊状のお店を見ていきます。ベネチアンガラスや宝飾品、リネンや服飾品、雑多なお土産物屋さんに混じってカフェもあります。カフェの前で小楽団が演奏をしているところも。でも、曲目はポップスやラテンメドレー、ミュージカルソングが多いみたいです。
ところが、ビーズのお店で時間をつぶしているうちにあっという間に空が暗く曇ってきて、凄まじい豪雨になりました。楽団や屋台式のお土産物屋さんは大慌てで店じまい。人間も鳩たちも軒先へ避難します。さあ、回廊は人、人、人で大混雑ですが、世界各地からやってきた観光客たちを観察する楽しみもあります。大柄でフランクなドイツ系は若い人も多く、韓国中国系は家族を引き連れての観光客が多いです。回廊奥のアルコーブにバックパックを投げ出して輪になってにぎやかなのはアメリカ人の若者のよう。本当に、今もヴェネチアは国際都市なのですね。パック旅行らしき団体さんは雨の中、走って出て行く人も。きっと集合時間が迫っていたのでしょう。傘をさしてもずぶぬれになっていました。私たちは完全個人旅行なので時間に縛られることもなく気楽です。回廊内でアンサンブルが演奏しているカフェでコーヒーを飲みながら1時間以上の大雨をやり過ごしつつ人の海を眺めていました。
でも、おかげで西の方のもう1軒のビーズ屋さんには行く時間がなくなって残念でしたが、ヴェネチアの仮面を売ってるお店に入って写真のような仮面を買いました。顔全面を覆う魔女のような仮面と、こういう目元だけの仮面とがあります。仮面舞踏会の雰囲気を楽しむのならこちらの方ですね。お留守番をしてくれている息子にも、これに黒い羽の付いた物を買いました。
雨が上がったのでホテルに戻り、一休みしてから他加子さんたちと待ち合わせてお夕食に。
リアルト橋を渡ってすぐのレストランですが、ここは地元の漁師さんたちも来るごく庶民的なお店。間口は狭くて、入ったところはBARになっていて、また降り出した雨で駆け込んできた人たちでいっぱいでしたが、そこを通り抜けるとかなり広さのあるレストランになっています。みんなで食べたのは、前菜盛り合わせ、フリット盛り合わせ、エビと茸のパスタ、イカスミのパスタ、鱈のほぐし身のクリーム和えとポレンタ。チキンの煮込みとポレンタ。デザートにはジェラートやチーズケーキ。特にイカスミパスタが甘味があっておいしいのと、鱈のクリーム和えが風味があってなめらかでいくらでも食べられそう。本当に信じられないほど安くておいしいお店です。親しい仲間とワインを傾けながらワイワイ楽しく食べるのには最高です。
イタリア最後の夕食を終えて、大満足でホテルへ。本当に、今回、イタリアではどこで何を食べてもハズレということが全くなくて、日本食を恋しがる観光客の気持ちがさっぱりわからないままでした。ヴェネチアだけは観光地ということもあってレストランの当たり外れが大きいらしいのですが、良い案内人を得て幸運でした。



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