第二幕:スカルピア殺しでのハプニング
これは、ナイフが本物で、刺されたスカルピア役の歌手が怪我をするというのが多いようです。
●1920年代、ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場にて。 当時プリマドンナだったマリア・イエリッツァがスカルピア役のアントニオ・スコッティを刺したとき、スコッティは本当に刺されて怪我をしたそうです。 |
●1971年、サラトフにて。 背中や胸より鎖骨に近い喉のあたりを右手で上から刺すつもりだとスカルピア役に説明している稽古の時、ナイフが本物であることを発見。 さっそく小道具係に取り替えることを要求したものの、本番もそのまま。 見事にヴィシネフスカヤは相手の耳を切ってしまうことに・・・。 もちろん、血がたらたら・・・。 ・・・ヴィシネフスカヤの自伝(『ガリーナ自伝』みすず書房 1987)から |
●どこだったかで、トスカがスカルピアを刺すナイフを探していると、小道具さんが置き忘れて無いではないですか! 仕方がないので、テーブルの上にあったバナナでスカルピアを刺し殺したそうです。 「いくら鋭い物が無くても、燭台で殴る方がましなのに・・・」と言った人がいました。 |
●ナイフが無くて刺し殺せないから「絞め殺した」と言うのもあったような・・・ どこの話だったか・・・ |
●メトロポリタン歌劇場でスカルピア役のホアン・ポンスが、トスカ役のエヴァ・マルトンと格闘(!)している時、誤って、ポンスがマルトンのあごをはずしてしまったということがあります。 二人とも相当な重量級なのでさぞかし迫力があったと思いますが・・・ 苦痛に耐えながらもマルトンは何とかスカルピアを無事(?)殺して、二幕を歌いきったそうです。 どんなふうにマルトンの顎が外れたのかは不明ですが、3幕は、医者である夫の反対にもかかわらず、マルトンは歌い続けました。 顎関節の完全離脱まではいかなかったものと思われます。 翌日ニューヨーク・タイムズの1面にこのことが載ったそうです。 |