『ロベルト・デヴリュー』あらすじ



サー・ウォルター・スコットの小説に基づくサルヴァトーレ・カンマラーノの台本。全3幕。

< 第一幕 >

【第1場】(ウェストミンスターの大ホール)
イングランド女王エリザベッタの恩寵を受けていたエセックス伯ロベルト・デヴリューはアイルランド遠征後、謀反の罪に問われ、裁判を待つ身となっている。ロベルトを愛していたサラはロベルトがアイルランド遠征で留守中、エリザベッタの勧めでノッティンガム公爵と結婚したが、今も密かにロベルト・デヴリューを深く愛している。エリザベッタ女王が登場し、サラにロベルトが謀反の罪に問われていることを告げ、しかし反逆罪よりも自分の愛を裏切ることの方が罪が重い、と述べる。
ロベルトが現れ、女王との二重唱の中で自分の謀反の罪は無実であることを訴えるが、女王は誰か他の女性を愛しているに違いないと疑いを抱き、自分の愛を裏切ったならば決して許すことはないと言う。サラの夫ノッティンガム公が現れ、親友ロベルトを救うと誓う。

【第2場】(ノッティンガム公爵夫人サラの部屋)
ロベルトが現れ、サラに何故ノッティンガム公の妻になったのかと問い詰める。サラはロベルトが留守中で父親が亡くなったこともあり、女王の勧めに従わざるを得なかったのだと答える。そして女王を慮って今後二人は会わないようにしようと提案する。ロベルトがもう自分を愛していないのか?と問うと、サラは愛しているからこそ耐えねばならぬと訴える。ロベルトはかつて女王から愛の証しに贈られた指輪をもう用がない、言って投げ捨てる。サラはそれを手に取り、代りに自分のスカーフを、二人の愛の思い出にとロベルトに渡す。

< 第二幕 >

【第1場】(ウェストミンスターの大ホール)
セシル卿が女王にロベルトの有罪を告げる。同時にロベルトが持っていたスカーフを示す。女王はやはり他に女性が居たのだ!と逆上する。ノッティンガム公が現れ、女王にロベルトの罪を許すよう訴える。しかしロベルトが持っていたスカーフが自分の妻サラのものであることに気付き、親友と妻の裏切りにこちらも怒り爆発。女王はロベルトにその女性の名前を言えば許すというが、ロベルトは名前を明かすくらいなら死を選ぶ!と言うので、怒った女王は死刑の判決文に署名してしまう。

<第三幕>

【第1場】(ノッティンガム公爵夫人サラの部屋)
サラは差出人不明の手紙を読んでいるが、それがロベルトからのものであると気づく。手紙の中でロベルトは例の指輪を女王に示せば自分の罪は免れる、と書いている。サラはその指輪を持って女王の元に駆けつけようとするが、部屋に入ってきたノッティンガム公がその手紙と指輪を見て妻の不実を責め、もはや血が流されねばならぬと逆上する。サラは自分の身の潔白を訴え、一刻も早く指輪を女王に届けようとするが、夫に阻まれる。

【第2場】(ロンドン塔内の牢獄)
ロベルトは、サラに贈った手紙によって指輪が女王の許に届けられ、罪が許されるであろうと希望をつなぐ。同時にノッティンガム公に対してサラの身の潔白も証明したい、その為にはノッティンガム公の剣によって死ぬことも厭わないと願う。そこへローリー卿と衛兵たちが現れ、ロベルトを斬首台へと引き連れて行く。

【第3場】(ウェストミンスターの大ホール)
なおもロベルトを愛している女王はサラの家に使いを出し、指輪が届くのを待ちかねている。そこへやっとサラが息せききって到着し、指輪を差し出し、同時に自分こそ女王の恋のライヴァルであったことを告白する。女王はとりあえず処刑を中止するよう命令する。しかし時既に遅く、ロベルトの処刑が実行される。希望を失った女王はサラを責めるが、そこへノッティンガム公が現れ、サラを差し止めたのは自分だと告げる。怒り狂った女王に血に染まった処刑場と血にまみれたイングランドの王冠の幻影が見える。女王はもはや生きる術はないと嘆き、イングランドの王位はスコットランドのジャコモ(ジェームズ)に譲ると宣言する。


【歴史上の人物との比較】

イングランド女王エリザベッタ →イングランド女王エリザベス1世(1533年〜1603年)

ロベルト・デヴリュー →エセックス伯爵ロバート・デヴルー(1566年〜1601年)

(非登場人物)
スコットランド国王ジャコモ →スコットランド国王ジェームズ 6世(兼イングランド国王ジェームズ1世)


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