『マリア・ストゥアルダ』あらすじ

シラーの悲劇、「マリア・ストゥアルト」が原作。

ジュゼッペ・バルダーリの台本(イタリア語)。

全3幕。

第一幕 (ウェストミンスター宮殿にて)
イングランド女王エリザベッタがセシル卿と共に槍試合から帰ってくる。レスター伯のロベルトを愛していたエリザベッタは、フランス王からの結婚の申し出に悩んでいる。そこへタルボット卿が進み出、幽閉中のスコットランド女王マリア・ストゥアルダの赦免を願い出る。イングランドへ亡命して来たマリアは大逆事件の関係者として捕われていたのだ。だが、セシル卿は国家安定のために、女王の座を狙った謀叛人として処刑すべきと進言。迷う女王。ロベルトがやって来たので、女王はフランス大使に結婚の承諾を伝えるように言うが、彼が何も感じていぬかのように顔色を変えないので、冷淡な男だと独白する。二人になるとタルボット卿はロベルトにマリアからの手紙と肖像画を渡す。マリアを愛するロベルトはそれを見て必ずマリアを救うと誓うが、ちょうど戻って来た女王に見とがめられる。マリアと通じているのだろうと図星を差されたロベルトは、隠しきれずに手紙を差し出して赦免を乞う。マリアに会って欲しいと言うロベルトに、女王はマリアの傲慢な鼻柱を折ってやろうとフォルテリンガ城に出向いて会見することを承諾する。

第二幕 >(フォルテリンガ城内の庭園にて)
侍女と共に久しぶりに庭に出られて、太陽の光に喜ぶマリア。ロベルトが来て、女王が今日、狩りを口実に訪れると告げる。怖れるマリア。ロベルトは優しく慰め、女王に恭順の意を示して赦免を得るよう諭し、許された暁には結婚しようと約束する。女王が来て、ロベルトはマリアの赦免を願い出るが、セシル卿は反対する。マリアがタルボット卿に伴われて登場し、女王の前にひざまずいて赦免を願う。しかし、女王はロベルトとマリアの関係に嫉妬して、マリアが夫を殺害し、他の男と不貞を働いたとあげつらって辱める。がまんできずマリアは女王にあなたこそ庶子で王座を継ぐ資格などないと叫び、女王の弾劾に走る。怒りに蒼白となって、女王はマリアを逮捕し、「極刑に苦しむ心の用意をするがよい」と言い放つ。

第三幕

【第1場】(ウェストミンスター宮殿にて)
セシル卿は死刑執行書への署名を進言するが、女王は情勢を慮って慎重な態度。しかし、ロベルトが姿を見せると嫉妬に燃えて署名してしまう。ロベルトは再度赦免を願い出るが聞き入れられず、女王はかえってロベルトに処刑の立ち会いを命じる。

【第2場】
(フォルテリンガ城の牢獄)
処刑も近いと告げるセシル卿に、マリアはイングランドに自分を裁く権利はないと気高く言う。死を覚悟したマリアはカトリックの僧となったタルボット卿に最後の懺悔をする。夫アリ−ゴを暗殺したボスウェル卿を暗殺者と知りながら許して結婚したと告白する。バビントンの大逆に関しては、自分はイングランドでは何の罪も犯していないと断言する。


【第3場】(刑場の控えの間)
召使いや友人が悲しみにくれる中、喪服のマリアが現れ、最後の祈りを捧げる。死刑執行の合図の大砲の音と共にセシル卿が来ると、マリアは自分を死に追いやる女王を許すと伝言する。激しく嘆き悲しむロベルトに別れを告げて、マリアは神の許へと旅立つ心の内を歌い、静かに処刑台への階段を上がっていく。

【歴史上の人物との比較】

スコットランド女王マリア・ストゥアルダ →スコットランド女王メアリー・ステュアート(1542年〜1587年)

イングランド女王エリザベッタ →イングランド女王エリザベス1世(1533年〜1603)

ロベルト →レスター伯爵ロバート・ダドリー(1533年〜1588年)


(非登場人物)


アリ−ゴ →メアリ−・ステュアートの2番目の夫、ヘンリ−・ステュアート(ダーンリ−卿)

ボスウェル卿 →ジェームズ・へップバーン(ボスウェル卿)


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