『アンナ・ボレーナ』あらすじ



フェリーチェ・ロマーニの台本。全2幕。

< 第一幕 >

【第1場】(ウィンザー城内の広間)
国王エンリ−コに新しい愛人が出来、王妃アンナに冷たくなったようだと人々が噂している。
女官ジョバンナについで王妃アンナが現れ、小姓スメトンに歌を所望。アンナはその恋の歌に初恋の人ペルシー卿を思い出して苦しみ、ジョバンナに「この苦しみを見て、もし王座への誘惑があってもはかない希望を抱いてはいけない」と諭す。
ジョバンナは国王との関係を悟られたかと不安におののき、折しも現れた国王に、王妃の目を避けて寵愛を受けることは出来ないと言う。王はアンナを退けてジョバンナを王妃にするとほのめかす。

【第2場】(ウィンザー城内の庭園)
ペルシーが王の特赦で追放を解かれて帰って来て、アンナの兄ロシュフォーと再会を喜び合い、アンナと別れていた日々の辛さを歌う。
王がペルシーに「追放を許されたのは王妃のおかげだ」と言うと、ペルシーは人目もはばからず感激してアンナの手に接吻する。王は腹心のハ−ヴィ−に監視を命じる。

【第3場】(アンナの居間の控えの間)
密かにアンナを慕うスメトンが前に盗んだアンナの肖像画を戻しておこうとしているところへ、アンナとペルシーが現われ、スメトンは隠れる。
掻き口説くペルシーにアンナはきっぱりと断るが、逆上したペルシーは剣で自らの胸を突こうとする。スメトンが飛び出して止めるが、アンナは気を失って倒れる。
見張りハ−ヴィーの知らせで王が来てアンナの裏切りと断罪する。取りなそうとしたスメトンの上着から肖像画が落ち、更に事態は悪くなる。正気を取り戻したアンナの申し開きを聞きもせず王は3人を拘禁する。

< 第二幕 >

【第1場】(アンナが軟禁されている部屋の控えの間)
王妃の不幸を嘆く女官達。一人になったアンナの所にジョバンナが来、罪を認めて離婚すれば命は救われると説く。
アンナは命を不名誉で買いはしないと怒り、耐え切れずジョバンナは王の愛人であることを告白する。アンナは女官の裏切りを怒るが、最後には、悪いのは国王と言って許す。

【第2場】(裁判の間の控え室)
スメトンは王妃の命を救うためとそそのかされてアンナとの不倫を告白する。アンナは自分の名誉を汚さないでと王に懇願し、ペルシーもアンナの潔白を訴えるが、王は二人に死罪を言い渡す。
ついにペルシーはアンナは自分の妻だったと叫び、王は二人を裁判の間に送り込む。
ハ−ヴィーが議会の死刑決定の報を告げる。

【第3場】(ロンドン塔の牢獄)
ペルシーだけでなくアンナの兄ロシュフォーも死罪とされるが、王の特赦で許される。しかし、アンナの死罪が許されないと知ると二人とも死刑を望む。
悲しみのあまり錯乱したアンナは苦悩のなかった若き頃を偲んで歌う。処刑の合図の小太鼓の音で正気を取り戻したアンナは兄とペルシーに詫び、スメトンも来て破滅させたことを詫びる。新王妃誕生の祝砲が鳴り響く中、アンナは息を引取る。


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【歴史上の人物との比較】
アンナ・ボレーナ →アン・ブーリン(1507年?〜1536年)
国王エンリーコ →ヘンリ−8世(1491年〜1547年)
ジョバンナ →ジェーン・シーモア(1509年〜1537年)
(非登場人物)
アラゴンのお方 →キャサリン・オブ・アラゴン(スペイン王女)
ヘンリ−8世の最初の妻で、強引に離婚、投獄された。

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